ゴキブリがいるかもしれないという不安に駆られた時、私たちはつい闇雲に家具を動かしたり、家中を探し回ったりしてしまいがちです。しかし、プロの駆除業者は、もっと冷静かつ論理的にその存在を確かめていきます。彼らが行う「生息調査(モニタリング)」の基本的な考え方を知ることは、私たち素人が効率的に、そして確実に対処するための大きな助けとなります。プロの調査の基本は、ゴキブリの姿そのものを探すのではなく、彼らが残した「痕跡(サイン)」を見つけ出すことにあります。なぜなら、警戒心の強いゴキブリの姿を直接見るのは難しくても、彼らが生活していれば必ず痕跡が残るからです。最も重要視される痕跡が、黒い粒状の糞、いわゆる「ラッソ」です。プロは、この糞がどこに、どれくらいの量あるかを入念に調べます。糞が集中している場所は、ゴキブリが頻繁に通るルートか、あるいは巣が近くにあることを示しています。これにより、やみくもに対策を打つのではなく、ピンポイントで効果的な対策を講じることが可能になるのです。次に重要なのが、卵鞘(らんしょう)の発見です。これが見つかれば、その場所で繁殖が行われているという決定的な証拠となり、対策の緊急度が格段に上がります。糞や卵鞘は、キッチンや水回り、電化製品の裏、収納の奥といった、暖かく、暗く、湿気のある場所に残されていることが多いため、調査もこれらの場所に集中します。さらに、プロは侵入経路の特定も同時に行います。排水溝や換気扇、エアコンの配管用の穴、窓の隙間など、外部から侵入できる可能性のある箇所を徹底的にチェックします。どこから入ってきているのかが分からなければ、いくら駆除しても再び侵入を許してしまうからです。これらの調査結果を総合的に判断し、初めて具体的な駆除計画を立てるのです。このプロの視点を参考にすれば、私たちはパニックになることなく、まずは敵の状況を正確に把握するという、冷静な初動を取ることができるようになります。
専門家はこう探すゴキブリ生息調査の基本