洗濯機置き場の防水パンの排水溝から、ゴボゴボという音と共に水が上がってくる。洗濯機を回している最中ならまだしも、キッチンでお皿を洗っている時や、家族がお風呂に入っている時にこの現象が起きると、多くの人はパニックに陥ります。「なぜ、関係ない場所の排水溝から?」その答えは、家の床下に隠された排水管の合流構造と、洗濯機の排水に特有の「汚れ」にあります。 多くの戸建てやマンションでは、床下で複数の水回りの配管が一本に合流しています。例えば、洗面所と浴室、そして洗濯機パンの排水が、最終的に一本の太い管にまとまってから、さらに下流のメイン配管へと接続される、といった具合です。この合流地点から先の共有部分で詰まりが発生すると、行き場を失った水は、配管の構造上、最も水位の低い場所から逆流しようとします。そして、多くの場合、その「最も低い場所」となるのが、床に直接設置されている洗濯機パンの排水口なのです。キッチンや浴室など、他の場所で大量の水を流した際に、その水が洗濯機パンから溢れ出すのは、このためです。 では、なぜ洗濯機の排水が関わる配管は詰まりやすいのでしょうか。その原因は、私たちが毎日着ている衣類に潜んでいます。洗濯槽の中では、衣類から剥がれ落ちた綿埃や糸くず、髪の毛、そして洗剤や柔軟剤の溶け残りなどが混ざり合い、ヘドロ状の汚れとなって排水と一緒に流されていきます。この粘り気のある汚れは、配管の内壁に付着しやすく、冷えて固まった皮脂や他の汚れと結合することで、時間をかけて排水管を狭めていくのです。特に、節水タイプのドラム式洗濯機は、少ない水量で洗剤を溶かして洗浄するため、配管内で洗剤が固まりやすいという指摘もあります。 このトラブルを防ぐためには、洗濯機の排水口に設置されているフィルターやトラップを、最低でも月に一度は取り外して掃除する習慣が不可欠です。ここに溜まった糸くずや髪の毛を取り除くだけで、配管への負担を大幅に減らすことができます。また、定期的に市販のパイプクリーナーを流したり、お湯を流して洗剤の溶け残りを洗い流したりすることも効果的です。一見すると無関係に見える場所からの水の逆流は、家全体の排水管が悲鳴を上げているサイン。そのメッセージを正しく受け取り、日頃のメンテナンスを怠らないことが、深刻な水漏れ被害を防ぐ最善の策なのです。
洗濯機パンから水が上がってくる、見落としがちな原因