佐藤さん一家は、築15年の一戸建てに暮らしています。数年前から、夏になるとキッチンを中心にゴキブリを見かけるようになり、特に奥さんと小学生の娘さんはゴキブリが大の苦手で、出現するたびに大騒ぎになっていました。ご主人はなんとかしなければと思い、ドラッグストアで「ゴキブリがいなくなるスプレー」を購入。まずはゴキブリがよく出るというキッチン周り、冷蔵庫の裏、シンク下などにスプレーをしました。最初のうちは効果があったようで、ゴキブリを見かける頻度は減りました。しかし、しばらくすると、今度はリビングや洗面所でも姿を見かけるようになったのです。ご主人は、スプレーの効果がキッチンだけにとどまっていると考え、家中の気になる場所にスプレーを噴射しました。壁際、家具の裏、押し入れの中まで、徹底的にスプレーした結果、一時的にゴキブリの姿は見えなくなりました。家族はこれで安心だと喜びましたが、問題は別のところにありました。家中にスプレーしたことで、薬剤の匂いがかなり強くなってしまったのです。特に娘さんは匂いに敏感で、「なんだか気持ち悪い」と訴えるようになりました。換気をしてもなかなか匂いは消えず、家族全員が少し気まずい思いをすることに。さらに、数週間後、またしてもゴキブリが出現。ご主人はがっかりしましたが、原因を考えました。スプレーの効果が切れただけでなく、そもそも家の中にゴキブリが繁殖しやすい環境があるのではないか、と。そこで、スプレーだけに頼るのをやめ、家族全員で家の大掃除をすることにしました。普段あまり掃除しない家具の裏や、押し入れの奥まで徹底的に清掃し、不要なものを処分。キッチンの油汚れも念入りに落としました。さらに、換気扇のフィルターを交換し、エアコンのドレンホースに防虫キャップを取り付け、侵入経路と思われる隙間を塞ぎました。そして、毒餌剤も家の隅々に設置。これらの対策を複合的に行った結果、翌年の夏、佐藤さん一家はほとんどゴキブリを見かけることなく過ごすことができたそうです。佐藤さんは、「スプレーは手軽だけど、それだけじゃダメなんだと痛感した。家全体を清潔にして、侵入経路を塞ぐことが一番大事なんだね」と語っています。この事例は、スプレーの効果と限界、そして総合的な対策の重要性を示唆しています。
ある家族のスプレーによるゴキブリ対策記